一連のバージ船リノベーションプロジェクトを振り返る6

新木場という新しい母港ができた2006年の春、BPAは今後の活動についてじっくり話し合う機会ができた。いまから考えるとずいぶんのんきな話だが、毎月毎月係留料を支払っているにもかかわらず、先はまったく決まっていなかった。ただ、トリエンナーレというチャンスをいただいた僕らは、そこで蓄積したものをそのまま放棄してしまう訳にはいかないと思っていた。

トリエンナーレからさかのぼる事半年、2005年3月にBPAはBankart1929にて、「Floating CAFE!! バージ船とテクノスケープから考える水上空間」というテーマでシンポジウムとパーティを実施。BOAT PEOPLEの考える「水上経験」という視点から、運河に面したBankART NYKの活動を水面に広げて行くための提案を行った。そのとき、「バージビレッジ構想」という提案を行った。異なる機能をもった船がたくさん集合することによって水上の村を形成し、それぞれがお互いを補完し合って魅力を高めるという提案である。トリエンナーレの提案もその延長上にあったといっても過言ではない。

バージビレッジ構想 さまざまな機能をもった船が集まる。畑船、露天風呂船、バスケットコート船など

トリエンナーレ終了後、われわれのLOB号がバージビレッジの一角を担うとして、どのような機能をもたせると、世の中に求められている機能を満たすことができるか話し合ったのである。

事務所船


まず、自分たちの投資に対していちばんリスクを分散できる形が事務所にすることだと思った。しかし、問題がひとつ。係留場所が公共水面の場合(多くの河川運河がそうである)、かなりの確率でそもそも係留が許されない。ダマでやったら本業の方が打撃を受ける。本業が一級建築士の私にとっては、日々きびしくなっていくリーガルリスクはさけなければならなかった。

公園船


公のためになる機能を盛り込む場合、公園という回答はあり得る。しかし、役所が財政的に苦しい昨今の状況を考えると、新たに管理コストのかかるヘンテコな船を持つという選択はないに等しい。

ファッションショー


ブランドの発信力を高めるために、あえて少人数で限られた人々に対して水上のファッションショーを開催する。おそらくメディア露出度は高くなるはずだ。テンポラリーであるという時点で実現度は高いが、読めないコストと読めないリスク管理がネックか。

美術館船


グッゲンハイム財団のように世界中に美術館を建設させなくても、世界中に影響力のある美術館をつくることができるという提案。

いずれのスケッチも、実現性に乏しく現実に即していない、という事実をようやく理解し始めていた。公共性とはそんなに生半可なものではない。

時はすぎ、議論は煮詰まり、2006年夏頃まで塩漬けにされた。

そしてこのスケッチをネタに行われた逗子でのミーティングにおいて、新たな方向性をもたらされた。

バージ船が陸地に係留されているさま

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